アートによる創作活動は脳の発達によいといわれており、これを取り入れた療育をおこなっている施設が目に留まるようになってきました。 

アートの主たる目的は絵画技術獲得を目指すことではなく、確固たる正解のない自由な作画を楽しみながら、自己表現をおこなうことで、お子様の発想力や想像力を導くことにあります。 

このアートがもたらす効果は、セラピー効果や感覚統合、趣味の獲得などさまざまです。 

あまり言葉で自分の考えを伝えることが苦手なお子様も、絵やものづくりなどの創作活動を通して自己表現することができることがあります。もやもやとした気持ちやストレスを表現することで発散し、セラピー効果が期待できます。また、感覚の過敏性や鈍麻などの感覚が整っていないお子様においても、紙や粘土などの香りや触感を通して、五感を刺激し、感覚が整っていないことの困難を和らげていく効果も期待できます。さらに、日ごろのアート活動を通して、お子様自身の「好き」や「得意」を見つけることで、余暇活動として趣味獲得の場を提供していくことを目指しています。 

具体的なアート活動の一例 

A.描画

えんぴつ、クレヨンなど道具の使い方から教えます。テーマを決めて絵を描いてもらったり、自由に絵を描いたり、色を塗ってもらったりします。また丸や三角など図形や、図形の数を指定して、絵を描いてもらうことで、より発想力を高めていきます。 

B.線・点つなぎ 

線・点つなぎは、「点と点を線で結ぶこと」です。先生が点と点を描き、お子様に自由に点と点を線でつないでもらいます。線・点つなぎは集中力を高め、指の感覚を整えたり、点と点を認識することを学べたりする活動なので、これから創作をおこなうときに役立つ活動です。 

C.マグネットモザイク 

色や形がちがうマグネットをつかって、好きなかたちにくっつけたり、先生が指定するマグネットをくっつけてもらったりする活動です。「マグネットで動物の形をつくってください」というように、お子様の自由な発想力に任せるので、想像力や感性を育てることができます。

D.小麦粘土

小麦粘土は小麦から粘土をつくり、動物や乗り物などを自由につくる活動です。 
まず小麦粉が粘土になる過程を見せて、「小麦粉は粘土になること」から教えます。好きな色の絵具を混ぜたりして、自由につくらせます。小麦粘土は普通の粘土とは感触がちがうため、新しい感触を楽しみながら，お子様の発想力や想像力を生かしていきます。